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神田日勝は、中学生の時に兄の手ほどきで油絵具の扱い方を学んだといいます。
本格的な制作活動が始まるのは、1956年頃のこと。当時18歳だった日勝は、農家を継いで、農作業の傍ら独学で絵画を制作していました。1956年10月には、地元帯広市で開催された公募展に、初出品ながら見事に入賞を果たします。記念すべきデビュー作《痩馬》に描かれたのは、憐れなほど痩せこけた農耕馬でした。
この時期に描かれたとみられる若き画家の《自画像》や、青空のもと収穫を行う農民が描かれる《風景》には、のちにその特徴的な描き方となる、ペインティングナイフによる刻み込むような筆触が、すでにあらわれています。