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1964年から1966年にかけて、牛や馬、畑からの収穫物など、自らの生活に欠くことのできないものを画題に選ぶことで、リアリズムの追求が試みられました。農耕馬はその代表的な例で、艶のある毛並みも一本一本丹念に描かれており、絵具の微細な凹凸が、そのまま毛並の立体感や質感につながっています。
《死馬》は、最も多くの下絵が残り、その制作プロセスをつぶさに辿ることができる作品です。また、日勝の「農民画家」のイメージを代表する作品ともいえるでしょう。馬の表情は眠っているような安らかさで描かれています。日勝は、家族と同じように生活を共にした馬への惜別の念と、その情景を作品のテーマとしたのです。