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1966年を境に、画面は鮮やかな色彩によって支配されるようになります。絵具や画材があふれるように並ぶ室内画は「画室」と名づけられシリーズ化します。まだアトリエをもっていなかった日勝ですが、牛や馬と同じように、自らの生活に欠かせない題材として選び取られた画題だったのかもしれません。
1968年には、その「画室」に人物が描かれます。同時期の、《壁と顔》や《ヘイと人》といった作品では、壁に貼りつけられた新聞やポスターが、現代社会の象徴として、現代人の閉塞感や孤独感を表現する役割をにないます。このテーマは、亡くなる年に描かれた、部屋を覆いつくす新聞と膝を抱える人物を描いた《室内風景》に収斂し、画業の集大成と言うべき作品として結実するのです。