イヤホンをつけてお聞きください。
この絵、牛の腹が一文字に割けていて、一体何だろうと思ってしまいますよね。
じつは当時の農家では、牛が死ぬと、腹にガスがたまってくるため、すぐに腹を割いてガス抜きをしたというんです。裂け目からは体温を感じさせるような赤い内臓がのぞいています。全体に抑えた色調なので、赤がとても鮮やかに見えます。腹を裂かれて可哀そうと思う反面、死体から命がのぞいているようにも感じます。
この作品はモノクローム調の画風を変えようと、色彩の効果を研究していた時期のものだといいます。ここでの手応えが、カラフルな原色をふんだんに使う表現へと繋がっていくんです。