イヤホンをつけてお聞きください。
野菜や果物、鶏、魚などの豊富な食材が画面いっぱいに溢れています。 でも、この年の十勝地方は豪雨と冷害による大凶作で、農業を諦めて離農する人たちが続出したんだそうです。単に「静物」というタイトルなんですが、その日その日を懸命に生きる開拓者の豊かさへの渇望が感じられます。描き方を見てみると、個々の食材は緻密に写実的に描かれています。一方で、青いホーローの容器や空き缶などは平面的な印象です。こうした特徴は、この後の〈画室〉シリーズへと受け継がれていきます。