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日勝が亡くなる直前まで描いていた最後の作品です。背景はベニヤ板のまま。馬も半分しか描かれていませんが、その半分はほぼ完成しています。これは日勝の描き進め方が独特のものだったことを物語っています。一般的には、まず馬全体の形を描き、塗り重ねていくんじゃないでしょうか。でも、日勝は馬を左から順に仕上げていってるんです。前足だけでちゃんと立っているようにも見えるし、愁いを帯びた馬の目にはドキッとさせられます。よく見ると、初期の作品とは違って、馬の毛には赤や青の原色も使われているんです。未完なのに、完成しているようにも見える。短い生涯を見事に生き切った日勝を象徴しているようです。